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竹中平蔵氏の描くスーパーシティ構想、ビッグデータ AIを支える通信の役割【全産業連携DXセミナーレポート Vol.2】


こんにちは!ミーク広報です。
ミークは、2023年4月に「全産業連携DXセミナー」と題するセミナーを開催しました。本セミナーでは、日本のDXを牽引する企業の役員や業界キーパーソンの方に登壇頂き、企業のCDOなどのデジタル担当・システム部門の方々を中心に、多くの皆さまにご参加頂きました。
noteでは本セミナーのダイジェストをご紹介します。
今回は、慶應義塾大学名誉教授の竹中平蔵様による基調講演「産業連携のDigital化に向けて ~スーパーシティ構想~」のレポートをお届けします。

*本レポートは、ライター・佐藤信彦さんに取材・執筆いただきました。

産業連携DXに必要なものは? 竹中平蔵氏はこう語った


DXは業務の単なるデジタル化でない。ICTで業務プロセスの変革や新事業の創出を起こすことが目的だ。そんなDXを成功させるには、何が必要なのだろう。

ミークが2023年4月に主催した「全産業連携DXセミナー」では、企業でDXの推進役になるCEOやCOO、CIO、最高デジタル責任者(CDO)などがDXを自分ごとと捉えられるよう、DX実践のヒントになる具体的な事例や考え方をキーパーソンが語った。本連載では、同セミナーの一部をピックアップしていく。

竹中 平蔵 氏

1981年 日本開発銀行退職後、ハーバード大学客員准教授、慶應義塾大学総合政策学部教授などを務める、2001年 小泉内閣の経済財政政策担当大臣就任を皮切りに金融担当大臣、郵政民営化担当大臣などを歴任、2004年 参議院議員当選、2016年現在は慶應義塾大学名誉教授、デジタル田園都市国家構想実現会議 有識者構成員

竹中平蔵氏の基調講演「産業連携のDigital化に向けて ~スーパーシティ構想~」

第2回の本記事は、慶応義塾大学名誉教授の竹中平蔵氏による基調講演「産業連携のDigital化に向けて ~スーパーシティ構想~」を紹介しよう。経済財政政策担当大臣やIT担当大臣など政府の要職を歴任してきた同氏は、現在「デジタル田園都市国家構想実現会議」で有識者構成員を務めている。

政策や経済の立場で政府のデジタル戦略を牽引してきた経験豊富な同氏は、インターネット普及開始から現在のAIなどによる第4次産業革命へと至る歴史、世界で起きているICT分野の変革やスーパーシティ、日本政府が進めている「デジタル田園都市国家構想」、IoTに適した全国へのインフラ整備などについて語った。「ChatGPT」に代表される生成系AIなど、最先端の話題にも触れた。

インターネット普及から、iPhone登場やAI進化、そして第4次産業革命へ

日本でインターネットが広く認知されたのは、1995年の「Windows 95」発売がきっかけ。同年の「新語・流行語大賞」に「インターネット」が選ばれたほどだ。

ところが、言葉を知る人は増えても、日本でのインターネット普及はなかなか進まない。竹中氏が2000年ごろ森内閣にIT戦略会議を作るよう提言した時点で、日本のインターネットリテラシー度は韓国の1/3程度だった。その後ブロードバンド環境の全国整備は進んだが、せっかくのインフラも活用しきれず、日本は「どう使うかについて非常に遅れてしまった」。

2000年代後半に入ると、世界は大きな変化を迎えた。「iPhone」登場で消費者がデジタル基盤を使える基盤が整い、ビッグデータの蓄積が進んだ。そして、これにAIを適用して活用する第4次産業革命となった。

2010年代初めには、深層学習(ディープラーニング)技術によるAIの急速な進歩、あらゆる物がインターネットに繋がるIoT、人々の生活をインターネットが仲介するシェアリングエコノミーなど、変化のスピードは高まる一方だ。

昨年から今年にかけては生成系AIのChatGPTが注目を集め、以前とは異次元の状態である。

中国アリババと杭州市のスマートシティ事例、一方の日本は

デジタルが社会に影響を及ぼすDXについては、海外の事例が参考になる。

竹中氏が中国・杭州市のアリババ本社で見て驚いたのは、市内の主要道路を走る自動車の情報がリアルタイムに表示されるディスプレイだという。杭州市はこの情報を使って信号機の制御を最適化し、交通渋滞の改善に取り組んでいた。具体的な成果も出ており、市全体の混雑率が20%から25%低下し、救急車の到着時間が半分に短縮されたそうだ。

これはビッグデータとAIの活用による都市空間全体の管理事例だ。そして、アリババという民間企業、杭州市という自治体の連携が、スマートシティを作り上げた。

ただし、日本のような国だと、データプライバシーの問題で思い切った仕組みの実装は難しい。そこで、トヨタ自動車は裾野市に「ウーブン・シティ」を建設し、私有地でさまざまな実験をしようとしている。

政府は、ウーブン・シティのような取り組みを規制緩和で実行する目的で、大阪市とつくば市を「スーパーシティ」に指定した。ほかにも、構造改革特区で細かな規制を緩める試みもある。

スマートシティを全国へ分散させる、デジタル田園都市国家構想も進行中だ。さらに、九州に半導体産業、大阪のバッテリーに蓄電池産業を集積させたうえで、全国が連携できるようデジタルライフラインの全国総合整備計画も策定されようとしている。

4G/5G共同アンテナ建設で多彩な産業連携を推進、そして第4次産業革命

人口比だと日本の4G普及率は現在100%近いが、国土面積でみるとカバー率は40%程度だ。通話や通信だけが目的なら、人口比で評価して構わない。全国でIoTデバイスを連携・活用するには、サービスエリアをもっと広げる必要がある。

そのために、4Gや5Gのネットワーク用アンテナを増やしたい。しかし、各キャリアが個別に建設する現在のやり方は、全体的には二重投資、三重投資で無駄が多い。米国ではアンテナの80%、ベルギーでは100%がキャリア共同アンテナなのに対し、日本では数%とまだ少なく、トンネル内や新しいショッピングセンターなどに限られる。

共同アンテナは、キャリアの負担を軽く全国に通信インフラを整備できる。政策としては、国が先行する形で公共事業として共同アンテナを建設していき、運営と管理をキャリアが担う、という形が望ましい。キャリアと政府、キャリア同士という、これも新しいタイプの連携といえる。

第4次産業革命では、ビッグデータやAIを活用することで、新しいビジネスがたくさん生まれてきた。この流れは今後も変わらないはずだ。その基盤として、共同アンテナや、ミークのIoT通信回線プラットフォーム「MEEQ」など、政府や企業、多種多様なデバイスを連携させる技術とサービスは、欠かせない要素となる。


全産業連携DXセミナーレポート Vol.1は、こちら
全産業連携DXセミナーレポート Vol.3は、こちら
全産業連携DXセミナーレポート Vol.4は、こちら


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